人事評価は何を評価するのか

2026年7月25日
人事評価の季節になると、多くの職場で決まって同じような声が上がります。「あんなに頑張ったのに評価されない」という部下の不満と、「評価すべきはそこじゃない」という上司の反論です。 ある社員は本業以外の取り組みに力を注いだことを誇りにしていますが、上司はミッションの達成度だけを見つめている。同じ一年間の仕事を振り返っているはずなのに、二人の目に映る景色はまるで違います。 評価する側とされる側、その間にある物差しのズレは、いったい何が生んでいるのでしょうか。
この討論は、実在の人物ではなく、AIが生成したペルソナによるものです。多様な立場をなるべく忠実に再現できるようリサーチに基づいて設計していますが、現実の意見や多様性を完全に反映するものではありません。

評価の物差しは誰がどう決めるのか

司会
部下は「何を頑張れば評価されるか」を事前にちゃんと理解していると思いますか。遠藤さん、実際に15人を評価する立場として、期待していることを言葉にして伝えられているか、正直なところどうでしょう。
遠藤 和也 営業部課長(部下15名を評価)
言葉にしているつもりでも、100%は伝わらないというのが実感です。期初に目標も行動計画も紙に書いて握ったつもりでも、半期後に本人に聞くと「そこまで求められてると思わなかった」とズレていることが結構あります。同じ言葉でも受け取り方は人によって違う。だから最近は一度伝えて終わりにせず、期中に何度も同じ話を繰り返して確認するようにしています。それでもゼロにはなりませんが。
亀山 恵子 人事部長
期初にどれだけ丁寧に言葉にしても、100%伝わらないのは自然だと思うんです。むしろそこで一度伝えて終わりにするから、半期後にズレが表面化する。管理職研修をやっていても感じるのは、月1回でも「今のペースだとこの評価ラインだよ」と進捗と評価の接続を言い続けないと、部下は自分の頑張りと評価がどう繋がっているか分からなくなる。期初の合意より、期中の頻度の方が納得感を左右している気がします。
早乙女 智彦 人事制度専門コンサルタント
頻度の話は大事ですが、それだけだと片方の問題しか解決しません。そもそも何を評価するか、What重視かHow重視かが管理職本人の中でブレていたら、何回対話しても伝わるものがズレたまま伝わるだけです。成果を出したのに評価が低いと言われたら、頻度を上げている分だけ不信感が募る場合もあります。
遠藤 和也 営業部課長(部下15名を評価)
WhatかHowかのブレという話、営業は数字が明確な軸なのでブレにくい方だと思います。売上とか棚のシェアとか、見れば分かる部分が大きいので。ただゼロではなく、同じ数字でも「市況が悪かった中での未達」と「楽な市場での未達」をどう重み付けするかは自分でもブレる自覚があります。あと亀山さんの頻度の話、回数を増やせば伝わるというものでもなく、毎回同じ評価軸を一貫して言い続けないと、むしろ「言うことが変わった」と不信感につながる気がします。中身の一貫性の方が大事だと思います。
神保 昭一 取締役執行役員(人事・経営企画担当)
軸を一貫させるのは大前提ですが、営業のように数字が明確な部門と、研究開発や新規事業のように最終成果までのスパンが長い部門とでは、同じ物差しで語るべきではないと思うんです。研究開発でも特許出願数やマイルストーン達成率といった中間指標はちゃんと作れます。期中に何度も説明するより、部門ごとに評価のポートフォリオを最初から設計しておく方が、曖昧さは消えるのではないでしょうか。
樋口 大輝 転職活動中の求職者
部門ごとに中間指標を作るという話、理屈は分かりますが、結局その指標を運用するのが上司なら意味がないんじゃないかと思ってしまいます。うちも改善提案が一応評価項目にあるんですが、実際は上司の気分で「まあよくやってるよ」で終わるので。指標を作るだけでなく、その運用がオープンになっているか、部下側からも見える形になっているかの方が大事な気がします。
冬柴 悠真 自身のキャリア開発に積極的な中堅社員
運用がオープンかどうかという話、すごく分かります。それで言うと、結局期初にどこまで評価軸を握れているかが全部の土台になっている気がしていて。僕のマーケの仕事だと、期初の面談で「ブランド系の施策も評価対象です」と口では言われても、評価シートの項目には短期KPIしか載っていなかったりするんです。そうなると半年後、上司の頭の中には最初の口約束など残っていなくて、結局シートに書いてある数字とその時の「まあ頑張ってたよね」という印象で決まる。指標を作るだけでなく、期初の合意を書面や記録に残す仕組みがないと、樋口さんの言う気分評価に戻ってしまうんじゃないかと思います。
石動 隆 評価が低迷している中堅社員
書面に残す仕組みができても、うちの職場だと期初の面談で言われたことが半年後の評価に反映された試しがないんです。面談で「主体的に動いて」と言われても、それが評価シートのどの項目に効いたのか説明されない。結局、書いてあるかどうかより、上司がそれを期中にちゃんと見返して守る気があるかどうかが全てで、そこの担保がないと約束事も紙切れで終わる気がします。
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
紙切れで終わるというのは、私の実感にも近いですね。40年近く勤めてきて、評価される年もされない年もありましたが、結局は書面に何と書いてあるかより、上司が日々の仕事ぶりをちゃんと見ていてくれるかどうかでした。忙しい上司ほど期初の面談内容など忘れてしまうし、期末になって付け焼き刃で評価されると、こちらも「見ていなかったな」とすぐ分かります。制度や書式をどんなに立派に整えても、見る側にその気がなければ結局同じことの繰り返しなんじゃないかと思いますね。
桐生 沙也加 法人営業のトップセールス
見てくれる上司かどうかで結果が変わるというのは、そうだろうなと思う反面、それだと結局上司の善意任せになってしまう気がします。うちの営業でも、数字は毎月見える化されているのに、進捗確認の1on1を平気で飛ばす上司が普通にいるんです。期初に何を握るかだけでなく、評価者側にも「ちゃんと期中に見返したか」を問う仕組みやペナルティがないと、性善説だけでは変わらないんじゃないかと思います。
松浦 千尋 総務部の一般社員
1on1を飛ばすとかペナルティの前の話で、うちみたいな総務だと期初に期待値そのものが言葉になっていないんです。営業さんは数字が軸だから握りやすいだろうけど、私はマニュアル整備とか経費削減とか地味な仕事ばかりで、期初に何を頑張れば評価されるのか、上司自身もはっきり言葉を持っていない気がします。だから期中に見返す仕組みより先に、そもそも言語化できているかが問題だと思います。
永瀬 由美子 会社員の配偶者(専業主婦)
数字化しにくい仕事の話、まさにと思います。私が昔パート事務をしていた時も、ファイル整理を工夫したりExcelで集計ツールを作ったりしても、それを評価する言葉自体が上司の中になかったんです。結局「いつも頑張ってるね」の一言で終わり。夫の会社も、営業みたいに数字がある部署はまだいいですが、そうでない部署は期待値をそもそも言葉にしてもらえていない気がして、それこそが不透明さの根っこなんじゃないかなと思います。
門脇 純子 労働組合本部 執行委員(人事制度担当)
数字化しにくい仕事の期待値が言葉にならないという話、これがまさに組合に寄せられる不満の一番多いパターンなんですよ。営業みたいに数字がある部署はまだ揉めても着地点がありますが、総務や事務系は「頑張ってるね」で終わって、何が評価されたのか本人も分からないまま査定だけ来る。だからこそ、期待値をどう言葉にするかという評価基準そのものの設計段階に、現場の声を聞ける組合のような立場が関わる必要があるんじゃないかと、私はずっと思っています。
宇津木 玲奈 機関投資家(アナリスト)
組合の現場対応も大事だと思いますが、それだけだと社内問題として閉じてしまう気がします。定性的な仕事の期待値をどう言語化して、それが経営戦略とどう連動しているかというのは、本来は開示情報として外からも見えるべきものです。評価者訓練や複数評価者でのチェックを入れている企業もありますが、そういう運用の実態まで説明できるかを投資家として問うようにしないと、結局は社内の善意や組合の交渉力任せで終わってしまう気がします。数字化しにくい仕事の評価基準こそ、経営がどこまで言語化に本気かが見える部分だと思うので。
亀山 恵子 人事部長
外部開示の話に飛ぶ前に、まず社内でやることがあると思うんです。厚労省の職業能力評価シートのような雛形もあるし、うちも部門別の評価項目テンプレートは用意しています。ただ冬柴さんが言っていたシートと口約束のズレは、雛形がないからではなく、評価者ごとに基準の運用がばらついたり、目標設定の言葉自体が抽象的なまま現場に渡ってしまうから起きるんですよね。人事側がひな型を作るだけでなく、評価者研修でその言葉の使い方まで揃えるところまでやらないと、結局現場で解釈がブレるんだと思います。
早乙女 智彦 人事制度専門コンサルタント
研修で言葉を揃えるのは必要ですが、それだけだと一度きりで終わって半年後には元の抽象語に戻る現場をよく見ます。本来は評価項目を経営戦略や部門の実態にどう翻訳するかの型を人事が用意して、それをキャリブレーション会議のような場で定期的に検証し続けないと、また評価者ごとの解釈に戻ってしまう。石動さんの職場のように期初の言葉が評価に反映されないケースも、翻訳と検証を継続する仕組みがないと起きやすいんじゃないかと思います。
遠藤 和也 営業部課長(部下15名を評価)
翻訳と検証を継続する仕組みという話、耳が痛いですね。自分も期初の面談を一回作って満足しがちで、期中に同じ言葉を何度使っているか検証していませんでした。さっき薬師寺さんが言っていた「忙しい上司ほど期初の内容を忘れる」というのは、まさに自分もやりかねないなと。研修で型を揃えても、評価者自身が自分の言葉のブレを定期的に見返す機会がないと、結局また元に戻る気がします。
司会
上司が「それは評価対象の仕事ではない」と考える取り組みでも、本人はそこに頑張った自負を持っているケースがあります。石動さん、そういうすれ違いが起きたとき、どちらの言い分が正しいと言えるんでしょうか。
石動 隆 評価が低迷している中堅社員
うちの評価シートに後輩指導の項目があるかどうかも実はちゃんと確認したことがないんですが、あったとしても中身が曖昧で、結局は「まあ教えてやってくれ」で終わるんです。若手に段取りのコツやトラブルの予兆の見方を教えても、それで数字が上がるわけではないから、上司の頭には残らない。自分がやった実感はあるのに、評価される側からすると証拠が残らないんですよね。だから本人の自負と上司の判断がズレるのは当たり前で、そこを埋めるには最初にその指導を仕事として認めるかどうか、はっきり決めてもらうしかないと思います。
神保 昭一 取締役執行役員(人事・経営企画担当)
後輩指導を仕事として認めるかどうかは確かに先に決めるべきですが、それだけだと結局「よく教えている」という情意評価に戻ってしまいます。指導した後輩が実際に独り立ちして数字を出せるようになったか、その戦力化の結果まで評価項目に紐づけないと、指導という行為自体を評価するのは危ういと思うんです。頑張りではなく、指導の成果で見るべきじゃないでしょうか。
樋口 大輝 転職活動中の求職者
指導の成果で見るべきという話、ちょっと引っかかります。独り立ちできるかは、教え方だけでなく本人の資質やその後の配属先の環境にも左右されませんか。教えた側からしたら、結果が出なかったら指導自体もゼロ評価にされるのは理不尽な気がするんですけど。門脇さんが言っていた組合の話じゃないですが、数字化できない仕事ほど結果だけで見られると余計に不公平感が強まる気がします。
冬柴 悠真 自身のキャリア開発に積極的な中堅社員
それ、めちゃ分かります。マーケも結果が出るかどうかは、自分の施策の良し悪しだけでなく、競合の動きや景気、営業がどう売ってくれるかにも左右されるんです。指導も同じで、独り立ちできるかは配属先の上司ガチャみたいな部分もある。成果だけで見られたら、コントロールできない部分まで自分の評価にされて割に合わないなと思います。
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
独り立ちできるかは配属先次第というのは、うちの職場でも同じですね。手取り足取り教えた若い子が異動先で伸びたり伸びなかったり、こちらにはどうしようもない部分がある。だから結果だけで見られたらたまったものではありません。私が納得できた評価は、数字より「あの人は面倒見よく教えていたな」と上司が普段の様子を見ていてくれた年でした。結局そこに尽きる気がします。
桐生 沙也加 法人営業のトップセールス
上司が見ていてくれるかどうかが分かれ目、というのは分かるんですが、それだと結局は上司の観察力とか相性ガチャに評価が委ねられてしまう気がしていて。うちの営業でも、後輩に同行して商談前に一緒にトークスクリプトを練った、みたいなことは、口で言うだけだと上司の記憶からすぐ消えるんです。だから最近は自分から「いつ誰に何を教えたか」を簡単にメモで残して、期末に見せるようにしています。上司の観察力任せにするより、本人側が見える形にする工夫をしないと、結局主観評価から抜け出せないんじゃないかなと思います。
松浦 千尋 総務部の一般社員
メモを残す工夫、いいなと思う反面、それができるのは「いつ誰に何を教えた」という行為がちゃんと切り出せるからだと思うんです。総務だと、後輩に手続きを教えるのも、問い合わせ対応の合間にちょこっと口頭で済ませてしまうことが多くて、どこからどこまでが指導なのか、線引き自体が曖昧なんですよね。メモを取る前に、何を記録すべきかで悩んでしまう気がします。
門脇 純子 労働組合本部 執行委員(人事制度担当)
線引きを個人任せにするのは、やっぱり無理があると思うんですよ。松浦さんの職場のように問い合わせ対応の合間に指導しているようなケースだと、本人がどんなに工夫しても何を記録すべきか自体が分かりません。石動さんの後輩指導の話もそうでしたが、そもそも「これは指導行為です」という最低限の共通認識を職場ごとに会社側が示さないと、個人の記録の工夫だけでは限界があります。組合にも似た相談が来ますが、線引きを本人任せにした結果「どこまでが評価対象か分からず結局泣き寝入り」というパターンが多いんですよね。まず業務の切り出し方を示す責任は会社側にあると思います。
永瀬 由美子 会社員の配偶者(専業主婦)
線引きを会社が示すべきというお話、すごく分かります。家事も似た感じで、「ここまでやって当たり前」なのか「よくやってる」なのか、誰も決めてくれないんですよね。石動さんが言っていた後輩指導も、うちのパート時代のファイル整理と同じで、業務として切り出してもらえないと、いくらやっても存在しない仕事になってしまう。会社側が最低限「これは仕事です」と言葉にしてくれるかどうかで、頑張りが見える人と見えない人が分かれる気がします。

結果と過程、どちらを評価すべきか

司会
結果だけを見れば「頑張りは関係ないのか」と冷たく感じられ、過程を重視すれば「結果は関係ないのか」と感じてしまう。この矛盾はなぜ起きるのでしょうか。桐生さん、トップセールスとして数字を出し続けている立場から、結果と過程はご自身の中でどう位置づけられていますか。
桐生 沙也加 法人営業のトップセールス
私の感覚だと、結果と過程は本来対立しません。期初にすり合わせるのは数字目標だけでなく、たとえば「大型案件で決裁者に会うまでのステップを何回踏んだか」といった行動レベルまで具体化します。それが結果につながる再現性のある過程なら、評価に組み込んで当然です。矛盾が起きるのは「頑張ってた」という曖昧な言葉のまま評価しようとするからで、言葉を具体的な行動に落とし込めているかどうかが分かれ目だと思います。
宇津木 玲奈 機関投資家(アナリスト)
行動レベルまで分解できていれば結果と過程は対立しない、というのはまさにその通りです。それを個人の営業スタイルの話で終わらせず、会社として制度化・開示できているかが私の見るポイントです。決裁者訪問の回数のような行動指標を人事評価に組み込み、それを人的資本の開示資料で説明できている会社はまだ少ない。この差が、その会社の再現性への投資意欲を測る指標になると思っています。
亀山 恵子 人事部長
開示できている企業とできていない企業の差、というのは少し単純化しすぎな気がします。うちのような商社だと営業は数字で行動分解しやすいですが、管理部門などの間接部門は成果指標自体が曖昧で、行動レベルに落とし込むのがそもそも難しい。開示が進まないのは投資意欲の差というより、職種構造の差の方が大きいのではないでしょうか。
早乙女 智彦 人事制度専門コンサルタント
職種構造の差があるのは事実ですが、それを理由に管理部門は開示できないと言い切るのはコンサルとして違和感があります。数字化しにくい部門ほど、期初に上司と部下で「何ができたら高評価か」を言葉で握る作業を丁寧にやるべきで、それをやらずに曖昧なまま放置している会社が実は多い。人事部が翻訳の型を用意できていないだけなのに、構造だから仕方ないと結論づけるのは制度設計側の責任放棄だと思います。
遠藤 和也 営業部課長(部下15名を評価)
「人事部が翻訳の型を用意できていない」という話は耳が痛いですね。ただ営業の現場にいると、型があっても結局それを使いこなすかは上司次第だと感じます。私は棚の作り方や卸との関係構築を言葉にして落とし込んでいますが、隣の課長が同じ熱量でやっているかは正直怪しい。型は必要条件でしかなく、それを運用する上司一人の腕に評価の質が委ねられている実態は変わらない気がします。
石動 隆 評価が低迷している中堅社員
上司次第、という話も、うちの現場だともっと手前の問題がある気がします。数字や稼働率のような指標はシステム上残っても、それを上司がちゃんと見て評価に結びつけているかは正直怪しい。トラブルなく回ったことは当然扱いで、誰も掘り返して見てくれません。桐生さんの決裁者訪問の回数のように、こちらも段取りの手数や調整の回数を自分で記録して見せるくらいしないと、上司は気づきもしないんじゃないかと思います。
神保 昭一 取締役執行役員(人事・経営企画担当)
自分で段取りの記録をつけて見せるしかない、というのは正直、経営としては恥ずべき状態です。それは評価者が仕事をサボっている証拠です。うちでも管理職には、期中に部下の記録や中間指標を見返したかどうか自体を評価項目に入れています。部下に自衛させて済ませるのではなく、見ていない上司を評価で落とす仕組みとセットにしないと、記録なんてただの紙切れで終わりますよ。
樋口 大輝 転職活動中の求職者
見ていない上司を評価で落とす仕組みという発想は、自分の会社では聞いたことがありません。うちだと評価面談をやるのは上司ですが、その上司がちゃんと部下を見ていたかどうかを誰かがチェックしている感じは全然しません。評価する側が評価される、という仕組みが回っていれば上司も適当に済ませられなくなる気がするのですが、そういう会社はどれくらいあるものなんでしょうか。
司会
石動さん、数字や稼働率という結果指標が残っていても掘り返されないと感じる一方で、段取りの手数という過程を自分で記録して見せる必要がある、という状況は、結果だけでも過程だけでも「何かが評価されていない」という不満につながりやすいということでしょうか。ご自身の評価が低迷している実感の中で、結果と過程のどちらが軽視されていると感じますか。
石動 隆 評価が低迷している中堅社員
結果か過程か、と言われても、うちの現場だと結果自体が最初から評価の土台に乗っていない気がします。ラインが止まらず一日終わった、という結果は「当たり前」で記録にも残りません。段取りの手数をメモに残しても、結局それはトラブルが起きなかったことの説明にしかならず、桐生さんの決裁者訪問の回数のように次の成果につながる行動として見てもらえるかは怪しい。苦肉の策でしかないんです。
冬柴 悠真 自身のキャリア開発に積極的な中堅社員
「当たり前扱いされて記録に残らない」という話は、マーケも近いものがあります。ブランド構築やファンとの関係づくりは、トラブルなく地道に積み上がるものなので成果として見えにくい。ただ間接部門は数字で行動分解しにくいという構造の違いもあると思っていて、それを踏まえずに全部同じ型で評価しようとするから、結局本人が苦肉の策で記録を残すしかなくなるのではないでしょうか。期初に「何を成果と見なすか」を業種・職種ごとにすり合わせておかないと、後から掘り返してももらえない気がします。
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
早乙女さんが期初にすり合わせろとおっしゃっていましたが、うちのような福祉の窓口だとそれが難しいんです。同じ相談対応でも、相手の家庭の事情や複雑さで必要な時間は全然違う。すり合わせようにも、来る人によって毎回条件が変わってしまいます。だから件数や時間で測るのではなく、長年地道にやってきたこと自体を土台として認めてもらうしかないのではないかと思うんです。
早乙女 智彦 人事制度専門コンサルタント
「長年やってきたことを土台として認める」だけだと、結果的に在籍年数がそのまま評価点になってしまう危険がある気がします。福祉の窓口のように毎回条件が違う仕事でも、件数で測れないなら余計に、上司と定期的に「今回のケースで何を丁寧にやったのか」を言葉にして確認する作業が必要で、それを飛ばして年功に頼ると、若手にはいつまでも道が見えなくなると思います。
松浦 千尋 総務部の一般社員
年功に頼ると若手に道が見えなくなるというのは分かる気がします。でも私のような総務だと、数字にも年数にも乗らない部分があるんですよね。マニュアルの見直しや備品管理の工夫といった改善提案は成果として言葉にしにくいから、年数を重ねただけの人と同じに見られがちで。期初に何を成果と見るか決めても、そういう小さい改善は結局こぼれ落ちる気がして、そこをどう拾ってもらうかが一番知りたいところです。
門脇 純子 労働組合本部 執行委員(人事制度担当)
小さい改善提案が拾われないという話は、うちの後方支援の部署でもよく聞きます。改善提案そのものを言葉にする以前に、上司がその仕事の中身をちゃんと把握できているのかが怪しいと思うんです。組合に来る相談も「評価理由が説明されない」が一番多くて、それは本人が記録を残すかどうかより先に、見る側の観察力の問題な気がしています。管理職への評価者訓練を義務にすべきだとずっと言っているのはそこなんです。
永瀬 由美子 会社員の配偶者(専業主婦)
観察力不足の話、家庭で言うとまさにそれなんです。夫が毎晩遅くまで頑張ってる姿を一番近くで見ているのは私ですが、上司の方はその十分の一も見えていないんじゃないかと思うことがあります。うちも夕飯を作った日に「今日はイマイチだったね」しか言われないと、それまでの手間は全部なかったことにされた気がして悲しいんです。過程だけ見てもらえないのも、結果だけで切られるのも、結局は誰かがちゃんと近くで見て言葉にしてくれていないからなんじゃないでしょうか。

数値化しにくい仕事はどう評価されるべきか

松浦 千尋 総務部の一般社員
数字がない分、自分から『こういうことをやりました』と言わないと伝わらないんです。FAQを作って問い合わせを減らしたり、備品管理を見直して経費削減したりしても、面談で言うと『助かるよ』で終わってしまう。それが評価にどう反映されたのか、こちらには全く見えません。頑張った分を毎回自分で説明資料を作って主張しなきゃいけないのは、正直しんどいです。
桐生 沙也加 法人営業のトップセールス
『助かるよ』で終わるの、よくわかります。営業でも数字はあるけれど、期初に上司とすり合わせた目標が期中で一度もフィードバックされないと、評価面談で急に評価が出てきて『え、何で?』となるんですよ。数字がある分マシに見えるだけで、誰も継続して見てくれていないという感覚は総務も営業も同じだと思います。
宇津木 玲奈 機関投資家(アナリスト)
営業でも継続して見てもらえていないというその指摘は、投資家目線でも重要です。開示資料だけ見ると『目標管理制度あり』で終わっていて問題なさそうに見えますが、実際は面談が何回行われたか、期中でどれだけフィードバックが入ったかまでは出てきません。数字がある営業ですら形骸化しているなら、それは総務の可視化不全と根っこは同じだと思います。企業に聞きたいのは、面談履行率や評価者間のキャリブレーション頻度といった運用指標。それがないと、制度があるという開示自体、あまり信用できないんですよね。
亀山 恵子 人事部長
面談履行率やキャリブレーション頻度という視点は、人事としては痛いところを突かれた感じがします。多くの会社で目標管理制度は『書きっぱなし』を防ぐために月次確認が推奨されていますが、それが本当に機能しているかは会社ごとにバラバラで、形骸化しているケースも多いのが実態だと思います。運用指標を可視化する動き自体は必要ですが、面談回数を測れても、その中身が『ちゃんと見てもらえた』と部下が感じられる質になっているかは別問題で、結局評価者個人の主観のブレをどう均すかという根っこの課題は残ります。
遠藤 和也 営業部課長(部下15名を評価)
面談履行率やキャリブレーション頻度を数字で測れるようにするのは大事だと思いますが、それだけ整えても、面談の場で評価者が期初に決めた期待値をどこまで言葉にして説明できているかは結局個人差が残ると思っています。自分も期初に紙で目標を握ったつもりでも、期中にそれを部下と一緒に見返す作業が甘くなっていた時期があって、それだと部下からすれば口約束と変わりません。制度や指標の話と、評価者一人ひとりの実践の質の話は分けて議論した方がいい気がします。
司会
松浦さん、総務の仕事は数字という共通言語がない分、上司との間で『何を評価対象とするか』の合意形成自体が難しいのではないでしょうか。FAQ作成や経費削減の取り組みを面談で自分から説明しなければならない今の状況について、何が変われば正当に測られていると感じられますか?
松浦 千尋 総務部の一般社員
合意形成が難しいというより、そもそも上司が日々の業務をちゃんと見て記録していないから、合意するための材料自体がないんじゃないかと思うんです。桐生さんの営業の話も、期初に決めた目標を期中で見返してもらえないということですよね。結局、部下側が『こんなことをやりました』と自分で説明資料を作らないと存在しなかったことになる。それを当然視されるのがしんどくて。本来は見ている側が記録して、それを元に話すべきなんじゃないかと思います。
神保 昭一 取締役執行役員(人事・経営企画担当)
見ている側が記録すべきだ、というのはその通りだと思います。ただ記録を全部上司の観察力任せにすると、今度は『よく見てくれる上司』と『放置する上司』で差が出るだけになる。だからうちでもやろうとしているのは、本人が事実ベースで『何をやったか』を都度書き残し、上司はそれを検証・裏付けする側に回るという二段構えです。上司の記憶や善意だけに頼る制度は、結局属人的なままですから。
樋口 大輝 転職活動中の求職者
事実として書く記録があった方がいいのはわかりますが、出荷対応などで現場が動いている時に、その場でちゃんとメモを残すのは意識しないと抜けてしまうんですよね。倉庫だと日誌のようなものはあるけれど、それを評価につながる形で書けと言われたら、書き方から教えてもらわないと厳しい気がします。二段構えという発想はいいと思いますが、本人が書く力そのものにも差が出そうで、そこをどうするのかは気になります。
神保 昭一 取締役執行役員(人事・経営企画担当)
書く力に差が出るという指摘は的を射ています。だから『自由記述で書いてください』は無責任で、会社側が項目立てしたテンプレを渡すべきだと思う。『何をした』『誰のために』『どれだけ時間や工数が減ったか』のように埋める欄を決めておけば、文章力ではなく事実の穴埋めで済みます。桐生さんの言う期中フィードバックが飛ぶ問題も、このテンプレを面談のたびに更新する運用にすれば、記録と面談が自然にセットになるはずです。
石動 隆 評価が低迷している中堅社員
テンプレで工数や誰のためを埋める発想はわかりますが、うちのような生産管理だと、実際に項目として作ってもらえるかどうかは会社次第な気がするんです。うちの評価シートには『安定稼働』のような項目自体がなくて、結局そこが自己申告任せになっている。項目があるかどうかで納得感がだいぶ変わる気がします。総務の話と重なる部分は多いんじゃないでしょうか。
冬柴 悠真 自身のキャリア開発に積極的な中堅社員
評価項目自体がないというのは、マーケティングでも近い感覚があります。ブランド構築やファン育成は、そもそも評価シートに項目として存在しないから、期初に自分で『これも見てください』と提案して、上司と揉んで初めて項目になる。それをやらない年は結局『成果が見えない』で終わる。項目を人事や会社側が用意する時点で、その部門の仕事の全体像をどれだけ理解しているかが問われている気がして、テンプレを作る側にも育成の意識が必要なんじゃないかと思います。
石動 隆 評価が低迷している中堅社員
テンプレを作る側の理解度が問われるという話、まさにそれなんですよね。うちの評価シートには『安定稼働』のような項目自体がなくて、そもそも人事や上司が生産管理の仕事をどう項目に落とし込めばいいのか分かっていない気がするんです。営業の受注件数のような分かりやすい単位がないから、項目化すること自体を後回しにされている感覚があります。項目がないと、こちらがどう頑張って説明しても評価する側の受け皿がないんです。
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
「安定稼働」が項目にないという話、よくわかります。私たちの仕事も、住民から苦情も出ずに窓口が滞りなく回っている、それは『何もなかった』として評価されないんです。むしろトラブルが起きて対処した若い職員の方が目立って評価される。何も起きないように毎日気を配ってきたことを項目に落とし込むというのは、正直この歳になるまで考えたこともありませんでした。それくらい新しい発想だと思います。
早乙女 智彦 人事制度専門コンサルタント
何もなかったことが評価されない、というのはまさに制度設計側の欠落だと思います。トラブル対応だけ目立って評価されるのは、評価項目自体が事後対応や変化しか捉える設計になっていないからです。安定運用そのものに価値があるという経営のメッセージを、項目として先に組み込んでおかないと、平時を維持している人はずっと『何もしていない人』に見られ続けてしまう。窓口業務も生産管理も、業務の中身は違えど、この『維持コストの見える化』がされていない点は共通しているんじゃないかと感じます。
門脇 純子 労働組合本部 執行委員(人事制度担当)
維持コストの見える化という言い方、まさにそれだと思います。うちの製造現場でも、間接部門や後方支援の人たちが、トラブルが起きないよう裏で調整し続けているんですが、評価シート上は何もしていないように見えてしまう。組合に相談に来る中にも、そういう縁の下の人からの声はあって、『何を評価されているのか分からない』と言われると返す言葉がないんです。制度側が『平時の維持にも価値がある』というメッセージを先に出さない限り、現場の納得感なんて積み上がらないと思います。
桐生 沙也加 法人営業のトップセールス
平時維持が評価されにくいというのは、営業でもまさにそうなんです。新規開拓は契約数という数字で目立つけれど、既存顧客をトラブルなく何年も維持し続け、解約させずに更新を取っている担当は、数字上は地味なんです。むしろ何も問題が起きていないから『順調だね』で終わってしまう。新規を取った人の方が評価されやすいという構造には、正直ずっと引っかかっていました。あと樋口さんが言っていた、現場でその場でメモを残すのが厳しいという話、営業でも商談直後にすぐ書かないと熱量ごと記憶が薄れるので分かります。記録前提の制度は、書く余力がある人が得するだけになりがちだなと思います。
永瀬 由美子 会社員の配偶者(専業主婦)
既存顧客を維持し続けている担当が地味に見られるという話、聞いていて、うちの夫の会社もそういうところがあるんじゃないかと思いました。何年も同じ取引先を問題なく回している人より、新しいことを始めた人の方が目立つみたいで。私もパートの時、備品整理や集計ツールを作っても『助かる』で終わって、それが評価にどう反映されたか全然わかりませんでした。何もないことの裏の努力を誰が拾ってくれるかで、本人のやる気も変わってくると思うんですよね。石動さんの生産管理の話も、結局似ている気がします。

制度変更は長年の貢献者にどう影響するか

司会
挑戦や成長を評価軸に据える制度変更が進むと、定年間近まで安定した貢献を積み重ねてきた社員の評価はどう変わるのでしょうか。薬師寺さんは当事者として、こうした変化をどのように感じていますか?
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
挑戦や成長を評価軸にすると言っても、うちの窓口業務は毎日同じことの繰り返しに見えるんです。でも、それを黙々と回し続けているから住民サービスが崩れずに済んでいる。若手に手続きの合間でちょっと教えるのも、誰も指導だとは思っていません。そういう目立たない部分に価値があるというメッセージを組織が先に示してくれないと、評価項目を後から付け足すだけでは、結局挑戦した人だけが浮かばれる気がします。
宇津木 玲奈 機関投資家(アナリスト)
目立たない部分に価値があるという感覚は、投資家目線だと実は数字に出せると思うんです。窓口対応が安定していれば、苦情件数や離職率にどこかで表れているはず。それを企業が指標化して開示していないだけではないでしょうか。挑戦の項目だけ足して終わりではなく、安定貢献の側も定量化する設計努力が必要だと感じました。
亀山 恵子 人事部長
技術的には個人単位まで追える仕組みはあるはずですが、うちのような中堅商社だと、そこまで細かく個人に紐づけて運用できているかは怪しいんです。システムがあっても、評価者が実際に使いこなせる形に落とし込まれていなければ宝の持ち腐れです。指標化は理屈として正しくても、それを個人評価に接続する設計と運用のコストは、思っているより重いというのが実感です。
遠藤 和也 営業部課長(部下15名を評価)
運用コストの話、うちのような規模でも同じ感覚があります。ただシステムより手前の話として、棚維持や卸との関係構築といった行動を、期初にどこまで具体的な項目に落とせているかと聞かれると怪しいんです。紙で握ったつもりでも、期中に一緒に見返さなければ結局部下からは印象評価に見える。指標化する前に、まず自分がその見返しを月一でもやれているか、そこが先だと感じます。
司会
門脇さん、労働組合として、挑戦や成長を評価軸に加える制度変更が薬師寺さんのような定年間近で長年安定した貢献をしてきた社員の評価にどう影響すると見ていますか?
門脇 純子 労働組合本部 執行委員(人事制度担当)
薬師寺さんの窓口業務の話、うちの製造現場でも同じことが起きています。品質トラブルの芽を早めに摘む調整業務や、後輩に工程のコツをさりげなく教えることは、数字に残らないけれど現場が回っている理由そのものです。挑戦の項目を足すだけでは、そういう縁の下の人が置き去りになる。だからこそ評価項目を作る段階で組合も入り、安定貢献をちゃんと言語化させる交渉が必要だと思っています。
松浦 千尋 総務部の一般社員
総務のマニュアル整備や問い合わせ対応も、まさに縁の下で置き去りになっている感覚があります。組合が項目づくりの段階から入るという発想は、現場の実感をすくい上げる具体策としてすごくいいなと思いました。ただ、うちの部署のように組合の力があまり強くない職場だと、その役割を誰が担うのかという疑問も残ります。人事部が代わりにヒアリングとかしてくれるものなんでしょうか。
亀山 恵子 人事部長
人事部が代わりにヒアリングするというのは、気持ちはわかりますが正直しんどいです。うちのような規模でも、全部門の縁の下の仕事を人事部だけで拾いに行くのは効率が悪く、部門ごとの実態を一番わかっているのは現場の管理職なんです。だから人事部がやるべきは、直接拾うことではなく、管理職自身が部下の非定型業務を言葉にできるよう型と場を用意すること。そこを人事部の役割にしないと、結局また属人的な運用に戻ってしまう気がします。
樋口 大輝 転職活動中の求職者
型と場を用意するという話は、面接で聞く側からすると、それが本当にあるのか見抜けないなと思いました。「1on1やってます」と言う会社は多いですが、管理職が非定型業務を言語化できる型まで持っている会社がどれだけあるのか。正直、そこまで聞き出す質問の仕方が自分の中でまだ見つかっていません。
司会
薬師寺さん、挑戦や成長を評価軸に加える制度になったとして、残り数年で新しい挑戦の実績を積むのが難しい状況で評価される側になったら、実際どんな評価結果になりそうだと感じますか?
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
率直に言えば、この物差しだと私はB評価どころか下手すればC、Dです。あと数年で新規事業やら新しい挑戦の実績なんて積みようがない。でも、大きな失敗もなく地道に窓口を回してきた積み重ねまで「それが当たり前」で片付けられるのは納得いきません。さっき亀山さんが、個人単位で追う仕組みはあっても運用が怪しいと言っていましたが、結局そこが曖昧なまま数字の物差しだけ入れられたら、こちらの粗ばかり見えて、良いところは誰も拾ってくれない気がするんです。
亀山 恵子 人事部長
「粗ばかり見える」という感覚は、制度側の落とし穴だと思うんです。苦情ゼロや離職率の低さは組織全体の指標なので、そのまま個人の実績として拾い上げるのは実は難しい。でも、少なくとも「トラブルなく維持した」という行動そのものを評価項目に言語化して入れる余地はあるはずで、それが今の項目に無いこと自体が偏りなんです。成果評価の軸は変えず、処遇に効く部分と育成でフィードバックする部分を分けて、挑戦だけじゃない物差しを別に作るべきだと思います。
神保 昭一 取締役執行役員(人事・経営企画担当)
その整理には賛成です。うちでも組織指標をそのまま個人の査定に落とすのは無理筋だと思っています。ただ処遇に効かせる方法はあって、成果評価の軸は変えず、薬師寺さんのような貢献は『安定運用の維持』という別枠のウェイトで賞与に反映する設計はできる。等級を上げる昇格の物差しは挑戦一本でいいですが、賞与配分まで挑戦一色にする必要はない。そこを分けて設計できていない会社が多いだけです。
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
賞与と昇格を分けるという発想はなるほどと思いますが、結局その『安定運用の維持』の枠を誰がどう判断するのかというと、うちのような組織だと現場を見ているのは直属の上司しかいません。枠組みが増えても、見る目そのものが変わらなければ、結局その人のさじ加減が二重になるだけではないでしょうか。門脇さんが言っていたような、後輩にさりげなく教える場面は、そもそも上司が見ていないところで起きていることが多いんです。
冬柴 悠真 自身のキャリア開発に積極的な中堅社員
それって結局、上司が非定型の貢献に気づけるかどうかに全部かかってくる話ですよね。僕もブランド構築の仕事で似た経験があって、期初に「何を成果とみなすか」を合意していなかったせいで、後から拾ってもらえなかったことがあります。だから『安定運用の維持』枠も、後から上司が探すのではなく、期初の目標設定の時点で「見えにくい貢献をどう記録して合意するか」まで一緒に決めておかないと、結局同じ属人性の問題に戻る気がします。
石動 隆 評価が低迷している中堅社員
それ、期初に決めるのが難しいんじゃないかというのが引っかかっていて。うちの生産管理だと品質やコスト削減のような数値目標は決められますが、仕入れ先の急な問題や仕様変更で火消しに回るのは、そもそも起きるかどうか予測できないんです。起きなければ平和で当たり前、起きたら徹夜で対応しても評価項目には元々書いていない話になる。目標に入れておいたことだけ拾われて、入っていなかった苦労は結局また拾われないんじゃないかという不安があります。
早乙女 智彦 人事制度専門コンサルタント
予測できないから評価に入れられない、というのは実は設計の逃げだと思うんです。起きなかった年は『トラブルなく維持した』を平時の項目として立て、起きた年は『対応した』を有事の項目として拾う。両方を最初から評価軸に用意しておけば、後付けで拾うか拾わないかの水掛け論にならない。項目が無いこと自体が、経営がその仕事を軽く見ているというメッセージになってしまうんです。
桐生 沙也加 法人営業のトップセールス
平時と有事を両方評価軸に入れておくという発想は、営業でもすごく刺さります。既存顧客をトラブルなく維持し続けているだけの担当者は、新規開拓組より地味に見られがちです。でも問題は項目を作った後で、期中に起きた『地味な踏ん張り』を誰が拾って認定するのか。直属の上司しか見ていないなら結局さじ加減一つですし、本人申告だと自己申告合戦になる。項目を用意する話と、誰がジャッジするかの話は分けて詰めないと、また同じところで詰まる気がします。
宇津木 玲奈 機関投資家(アナリスト)
項目とジャッジを分けて詰めるべきというのは、投資家目線でもまさにそこなんです。開示資料に評価項目一覧はあっても、誰がどう判定しているか、その判定にばらつきが出ないよう経営が何をしているかという情報はほぼ出てきません。項目の有無だけ見て制度が整っていると評価するのは、正直もう限界だなと思って聞いていました。薬師寺さんの話も、結局その判定する人が変わらなければ項目を増やしても救われないということですよね。
遠藤 和也 営業部課長(部下15名を評価)
少し切り分けたいのですが、薬師寺さんの窓口の話と石動さんの仕入れ先トラブルの話は、同じ「見えにくい貢献」で括られている気がします。うちの棚維持や卸との関係構築も含めて、定年間近の安定貢献は実は期初にある程度言語化できるはずです。それを項目に入れてこなかったのは正直こちら側の宿題です。ただ、予測不能な火消し対応は性質が違って、これは期初の項目化では無理な話。一括りにすると、本当は解決できる方を後回しにしてしまう気がします。
門脇 純子 労働組合本部 執行委員(人事制度担当)
火消しと平時の維持を分けて考えるべきという整理はわかりますが、期初に言語化できるはずの安定貢献の方は、正直これまでずっと後回しにされてきた感覚があるんです。組合の交渉の場でも、成果指標の話は毎回細かく詰めるのに、地道な維持業務の項目化は後手に回りがちです。言語化できるはずなのに手が回ってこなかったなら、それこそ制度を作る段階から組合が入って、後回しにさせない仕組みにしないといけないと思っています。
亀山 恵子 人事部長
後回しにされてきたのは悪意ではなく、うちの管理職を見ていても、そもそも維持業務を言葉にする語彙や訓練を持っていない人が多いんです。だから組合が入るなら、項目を作る場に一緒にいるだけでなく『何を後回しにしないか』の基準を人事部と組合で先に握る、そこまでやらないと結局現場任せに戻ってしまう気がします。
門脇 純子 労働組合本部 執行委員(人事制度担当)
基準を先に握るのは大事だと思いますが、それだけだと結局、現場で運用する管理職が言葉にする力を持っていなければ絵に描いた餅で終わってしまいます。冬柴さんの話にあったように、期初に何を成果とみなすか合意できていないと後から拾ってもらえない、というのはうちの組合員からもよく聞く相談です。だから基準を握るのとセットで、評価者に『どう言葉にするか』の訓練を義務化しないと、また属人的な運用に戻ってしまう気がします。
松浦 千尋 総務部の一般社員
訓練不足という話はなるほどと思いますが、これは定年間近の人だけの話ではないと思います。私のようにまだ30代でも、地道な業務をやっている人は同じように評価されにくいんです。挑戦だけを軸にすると、若手でも中堅でも地味に支えている人がずっと割を食う構造は変わらない気がします。仕入れ先トラブルのような予測できない対応の話も出ていましたが、そういう突発的な火消しと、うちのような毎日の地道な積み重ねは、評価する側からすると同じ「見えない仕事」に見えてしまい、結局どちらも拾われないまま終わりそうで不安です。
永瀬 由美子 会社員の配偶者(専業主婦)
聞いていて、家のことと似ているなと思いました。私も毎日ご飯を作ったり子どもの世話をしたりしていますが、それが当たり前扱いで、たまに手抜きした日だけ「今日イマイチだったね」と言われる感じです。地道にやっている部分は誰も見ていなくて、失敗した時だけ目立つというのは、会社でも家でも同じ構造なのではないでしょうか。結局、真面目にコツコツやる人がどこにいても損する仕組みそのものが変わらなければ、項目を増やしたところで同じ気がします。
司会
薬師寺さん、賞与と昇格を分ける設計や訓練の話が出ていますが、実際に定年までの残り数年でこの新しい評価軸が適用された場合、ご自身の評価結果や処遇は具体的にどう変わると想定していますか?
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
率直に言うと、この先数年、賞与だ昇格だと言われても、私はもう昇格なんて関係ない立場です。だから結局効いてくるのは退職金の算定と、60歳以降の再任用給与の査定くらい。そこに新しい物差しで低い評価をつけられたら、生活設計そのものが崩れます。さっき宇津木さんが、誰がどう判定しているかすら開示されないと言っていましたが、まさにそこなんです。項目が増えたところで判定する上司が変わらなければ、私のような最後の数年の人間は結局甘い辛いの運任せ。だったら後進の指導や、窓口でとっさに拾った配慮を、せめて言葉にして残せる項目だけでも作ってほしいというのが本音ですね。
樋口 大輝 転職活動中の求職者
退職金と再任用給与にしか効かないというのは、聞いていて自分とは評価制度の意味が真逆だなと思いました。自分は次の会社を選ぶための市場価値の物差しとして見ていますが、薬師寺さんにとってはもう積み上げてきたものの答え合わせの場なんですよね。それでも結局『甘い辛いの運任せ』というのは、自分が面接で一番怖がっているところと同じで、上司が変わらなければ物差しだけ新しくしても意味がないというのは、どのフェーズの人にも共通する不安なんだなと感じました。
神保 昭一 取締役執行役員(人事・経営企画担当)
樋口さんの『市場価値の物差し』と薬師寺さんの『答え合わせ』、この二つを無理に同じ評価シート一枚で測ろうとするから歪むんです。うちも本音を言えば、昇格・異動に効く成長軸と、退職金・再任用給与の算定に効く軸は別建てで設計すべきだと思っています。同じ物差しで測るから、市場価値を測りたい若手にも、これまでの積み重ねを認めてほしい薬師寺さんのような人にも、どっちつかずの制度になる。ただ別建てにしても、判定する上司の目が変わらなければ意味がないというのはその通りで、そこは制度設計とは別に評価者側の運用をどう縛るかまで詰めないといけない課題だと思っています。
冬柴 悠真 自身のキャリア開発に積極的な中堅社員
分けて設計するのは自分も賛成ですが、成長軸は結局『これから伸びる』前提の話で、僕が期初合意やポータブルスキルを主張してきたのも全部そちら側なんです。薬師寺さんのように残り数年の人には、伸びしろより『これまで何をやってきたか』を言葉にして残す設計が必要。そこは自分の主張が届かない領域だなと感じました。
評価が下がる、上がるという瞬間にだけ目が向けられがちですが、今日語られたのは、それよりずっと手前で起きていることでした。上司が部下の仕事をどれだけ見て、どれだけ言葉にできているか、という一点です。 数字のある仕事にもない仕事にも、ベテランにも若手にも共通して立ち上がってきたこの問いは、今日の結論を持ち越したまま、それぞれの職場に持ち帰っていただくことになります。

討論を終えて〜参加者の所感

神保 昭一 取締役執行役員(人事・経営企画担当)
制度設計ばかりやってきた自分の中には、評価項目さえ用意すれば公平性は担保できるという思い込みがあった。しかし、項目を作っても上司が期中に見返す運用が伴わなければ、それはただの紙切れに過ぎないという指摘には率直に応えられなかった。
薬師寺さんの窓口業務と石動さんの仕入れ先トラブル、この二つを最初は同じ「安定運用の維持」という枠でまとめて考えていたが、平時の維持と予測不能な有事対応とでは性質が違う。評価軸としても分けて設計しなければ、粗い制度になってしまう。
また、苦情件数や離職率といった既存の経営データから、地味な貢献の裏付けが取れるという発想は、正直なところ盲点だった。新しい項目やテンプレートを一から作ることばかり考えていたが、すでに会社の中にあるデータを拾い直すだけでも見える化できる部分があるのではないかと、考えを改めているところだ。
亀山 恵子 人事部長
評価者研修は一度実施すれば終わりだと思っていた自分の甘さに気づかされました。管理職が自分の言葉のブレを定期的に見返す場がなければ、どんなに丁寧な型を渡しても半年で元の抽象語に戻ってしまうのです。
また、薬師寺さんの窓口業務や石動さんの生産管理の話を聞いていて、成果評価の軸は変えないという私の立場自体は揺らぎませんが、「何も起きなかったこと」自体を成果として言語化する項目が、今の制度には本当に存在しないのだと、恥ずかしながら痛感しました。
処遇に効く軸と育成でフィードバックする軸を分けるという妥協点は間違っていなかったと思う一方で、その運用を誰が担保するのかという設計を、自社に戻ってきちんと詰めなければならないと感じています。
遠藤 和也 営業部課長(部下15名を評価)
期初に紙で握って終わり、という自分のやり方が一番揺さぶられました。書面を作ること自体より、期中に部下と一緒に見返しているかどうかで信頼が決まる。言われてみれば当たり前のことですが、正直これまであまり自覚していませんでした。

また、棚維持や卸との関係構築のような、数字には出にくいけれど大事な仕事をどこまで評価項目に落とし込めているか。これも人にとやかく言う前に、自分のチームでちゃんとできているか怪しいところです。

新規開拓ばかりが目立って既存維持が評価されにくいという話も、まさにうちの営業で起きていることなので、次の期初はそこを見直そうと思います。
桐生 沙也加 法人営業のトップセールス
既存顧客を守り続ける担当が新規開拓組より地味に見られてしまうのは、ずっと引っかかっていた話でした。でも今は、それは結局『測る責任』を誰も引き受けてこなかっただけなんだと思っています。数字化できないのではなく、単に開示も評価項目化もされていないだけなのかもしれません。
また、期初にどれだけ細かく行動目標をすり合わせても、予測できない踏ん張りは必ずこぼれ落ちます。だからこそ、平時と有事の両方を最初から枠として用意しておくという発想は、自分の中でかなり補強されました。
ただ、枠を増やしたところで判定するのが結局上司一人だけなら、また同じさじ加減の話に戻ってしまいます。そこは自分の営業のやり方だけでは解決できない部分だと感じています。
冬柴 悠真 自身のキャリア開発に積極的な中堅社員
期初にきちんと合意さえしておけば十分だと、正直それが答えのすべてだと思い込んでいた節がありました。でも薬師寺さんの話を聞いて、それは伸びしろのある人向けの発想に過ぎないのだと気づかされました。残り数年で定年を迎える人にとって大事なのは、これから何を目指すかではなく、今まで積み上げてきたものをどう言葉にして残すかであり、同じシート一枚で両者を測ろうとすること自体に無理があるのだと思います。
また、石動さんの仕入れ先トラブルの話も心に刺さりました。予測できない貢献は、期初にどれだけ工夫しても評価項目には組み込めません。だからこそ、平時と有事の両方を最初から評価軸として用意しておくという発想は、自分の主張の穴を埋めてくれるものでした。
さらに、評価項目を作ることと、誰がそれを判定するかは別問題だという整理にも気づかされました。自分はどうも前者ばかりに寄って話していたと反省しています。
松浦 千尋 総務部の一般社員
項目があるかどうかで納得感がこんなに変わるという話、自分の中でようやく整理がついた気がします。これまでは、面談で自分から説明できるように資料を作らなきゃと、伝え方や記録の取り方ばかり気にしていました。でも、そもそも評価シートに項目として組み込まれていなければ、こちらがどれだけ頑張って説明しても受け皿がないんですよね。
あと、定年間近の人と私のような30代とでは、同じ「見えにくい貢献」でも、それが効いてくる先が退職金なのか今後の昇給なのかで全然意味が違うという点も、正直そこまで考えたことがありませんでした。
項目を作る責任は会社側にある、という視点を持ち帰りたいと思います。
石動 隆 評価が低迷している中堅社員
平時と有事を最初から両方とも評価軸に入れておく、という発想は自分にはありませんでした。うちの会社では仕入れ先のトラブルなど予測できないから評価に組み込めない、と最初から諦めていたんです。でも、トラブルが起きなかった年は維持できたことを評価し、起きた年は対応したことを評価する、その両方を用意しておけばいいと言われて、なるほどそういう手もあるのかと思いました。

ただ、薬師寺さんの話を聞いていて不安も残りました。結局、判定するのが上司一人だけなら、評価の枠が増えても見る目そのものが変わらない限り、同じ運任せなのではないかという点です。

あと、自分は45歳で、若手の成長軸にも、定年間近の人のこれまでの積み重ね軸にも中途半端にしか乗れない年代なんだな、というのも少し引っかかっています。
門脇 純子 労働組合本部 執行委員(人事制度担当)
薬師寺さんの話は、聞いていて胸に来るものがありました。挑戦軸の議論ばかりが先行すると、これまで積み上げてきた人たちへの答え合わせが置き去りにされ、結局は最後の数年を運任せにされる人が出てしまう。うちの組合員にも定年間近の方が多いのですが、成長を評価する軸と、これまでの積み重ねを認める軸を分けて設計するという発想を、正直これまで交渉の場で強く打ち出せていなかったと反省しています。
あと印象に残ったのは、冬柴さんが「自分の主張は成長軸の話であって、こちらには届かない」と認めた場面です。あれは重要な瞬間でした。実績を言葉にして残す仕組み作りは、誰も本気で主張していない空白地帯なんですよね。そこは自分たちから取りに行かない限り、いつまで経っても埋まらないんだなと思いました。
薬師寺 勝美 定年間近の一般職社員
賞与と昇格を分けて考えるという話は、自分の中で新しい発想でした。今までは「後から評価項目を足してほしい」くらいにしか思っていませんでしたが、平時の維持そのものに価値があると経営が先に決めて示すべきだと言われて、確かに自分は受け身すぎたなと感じました。
ただ、結局のところ、窓口でとっさに若い子に教えたり、苦情になる前に汲み取って収めたりする配慮は、事前に項目化しようがないものばかりです。そこは制度をどう作っても拾いきれない気がしています。
それでも、見ていない上司自身を評価される仕組みにするという考え方には、自分で記録をつけるより先にやるべきことがあるのだと気づかされ、少し気持ちが楽になりました。
早乙女 智彦 人事制度専門コンサルタント
薬師寺さんと樋口さんのやり取りを聞いていて、自分の中で大きく引っかかったのは、評価制度の意味が本人のフェーズによってまったく違うという点です。市場価値の物差しとして評価を見る人と、積み上げてきたものの答え合わせとして見る人を、同じシート一枚、同じ上司の目線で処理しようとしてきたこと自体、設計として無理があったのではないかと思います。
これまで自分はキャリブレーション会議で判定のブレを揃えることに重きを置いてきました。しかし揃えるべきはブレだけでなく、そもそも誰がいつどの物差しで見るかという設計思想の方だったのかもしれません。項目を作ること、判定を複眼化すること、それに加えてフェーズごとに評価の出口自体を分けること――この三段構えで考え直す必要があると感じています。
宇津木 玲奈 機関投資家(アナリスト)
項目の有無や開示の有無だけで制度の良し悪しを判断してきた自分の見方は、正直粗かったと思います。無事故や苦情ゼロといった「維持コスト」は、本来は非財務指標として測定できるはずなのに、企業も投資家もその努力を怠ってきたのではないか。そう考えると、エンゲージメントの場で聞くべきことが変わってくる気がします。
また、成長軸と積み上げ軸は時間の向きが逆である以上、同じ評価サイクルで測る必要はないという整理は、今後企業に説明を求める際の新しい切り口になりそうです。
樋口 大輝 転職活動中の求職者
上司が記録して期中に見返してくれれば解決すると思っていたのですが、それだけでは足りないのだとわかりました。特に響いたのは、項目を作る話と誰がジャッジするかは別問題だということです。面接で「評価基準はありますか」と聞くだけでは全然足りなかったんだと気づかされました。
あと、薬師寺さんの話を聞いていて、自分は評価制度を転職先での市場価値の物差しとして見ていましたが、人によっては積み上げてきたものの答え合わせでもあるんだなと。評価の意味合いが立場によってこれほど違うのかと気づかされました。
次の面接では、挑戦の軸と地道な貢献の軸を分けて設計しているか、そもそも上司がその言語化の訓練を受けているかまで聞いてみようと思います。
永瀬 由美子 会社員の配偶者(専業主婦)
薬師寺さんが話していた、残り数年の評価は退職金や再任用後の給与にしか響いてこないという話には、胸に来るものがありました。うちの夫もあと十数年働くことになりますが、若いうちの評価と定年間際の評価とでは意味がまったく違うのだと、初めて気づかされた思いです。
また、石動さんの「トラブルが起きなければ当たり前とみなされて記録にも残らない」という指摘も、家事に通じるものがあると感じながら聞いていました。
評価項目や型を整える話がいろいろ出ていましたが、結局は見てくれる上司がいるかどうかに行き着いてしまうというのは、制度を整えるだけではどうにもならない部分もあるのだろうと感じました。